アルギニンは、高血圧を根本から予防・改善し、副作用の心配がない理想的な成分です!

まとめ

 

  • アルギニンは、血管を拡張するのに無くてはならない生体成分です。その不足は高血圧になります(下図を参照ください)。
  • 生活習慣の乱れによる高血圧の原因にはアルギニン(NO)不足が関係している可能性があります。そのため、アルギニンは生活習慣の乱れによる高血圧を根本から予防・改善する理想的な成分となる可能性があります(下図を参照ください)。
  • アルギニンは、動脈硬化で硬くなった血管を柔らかくし、高血圧を改善します。特に動脈硬化が主な原因の中高年の高血圧を、根本から予防・改善する理想的な成分と考えられます(下図を参照ください)。
  • アルギニンは、食塩の取り過ぎで引き起こされた高血圧、本態性高血圧、糖尿病や肥満に合併した高血圧、ストレスによる高血圧、動脈硬化が原因と考えられる高血圧を改善しました。また、高血圧に合併した腎症や心血管系の異常などの合併症を改善しました。アルギニンのこれらの作用は、主にアルギニンから生成した一酸化窒素(NO)による作用と考えられました(下図を参照ください)。
  • このように、アルギニンは、主にNOの働きを介して、高血圧症やその合併症を根本から予防・改善することが期待できます。そのためアルギニンを摂取し続けることで高血圧そのものから解放される可能性があります。
  • アルギニンは、高血圧でお悩みの方におすすめします。アルギニンは生体に必要なアミノ酸のため副作用の心配はほとんどないと考えられます。実際数多くの臨床試験でアルギニンによると考えられる副作用はほとんどありませんでした。

図.アルギニンが高血圧を予防・改善するメカニズム

【図の説明】

  アルギニンは、血管の内皮細胞(血管の一番内側にある細胞)において、NOS(一酸化窒素合成酵素)という酵素の働きでNO(一酸化窒素)に変わり、血管拡張作用などによって血圧の上昇を防ぐなど、血圧の調節に大変重要な働きをしています。

  一方、内皮細胞が障害されると、アルギニンからのNOの産生が低下し、血管が拡張しにくくなり、高血圧の発症や悪化(進展)を引き起こすと考えられています。また、NOの減少は動脈硬化の原因となります。動脈硬化で血管が硬くなると血管の弾力性が失われ、血管の内腔(血管の内側の空間)が狭くなり血液が流れにくくなって血圧が高くなり高血圧になります。中高年者の高血圧の主な原因は動脈硬化です。内皮細胞の障害は、加齢(老化)、生活習慣の乱れ(肥満、運動不足、ストレス、喫煙、塩分の摂りすぎなど)、病気(メタボリックシンドローム、高脂血症、糖尿病、動脈硬化、心不全、慢性腎臓病など)などでみられ、これらに高血圧が併発しやすい大きな原因(高血圧の危険因子)の一つではないかと考えられています。内皮細胞の障害には活性酸素が関係していると考えられていますが、実際、上記の高血圧の危険因子において酸化ストレス(活性酸素が異常に増加した状態)が亢進していることが明らかにされています。活性酸素はNOSの働きを阻害しNOの生成を減少させます。

  アルギニンは、内皮細胞障害を改善し、NOの生成を促進します。生成したNOは血管を拡張し高血圧を予防・改善します。また、アルギニンは動脈硬化を改善し、動脈硬化が原因の高血圧を改善します。このように、アルギニンはこれらの作用によって高血圧を根本から予防・改善する画期的な成分と考えられます。

 

1.アルギニンは高血圧症を予防・改善します!

1)高血圧とはどういう病気でしょうか

●高血圧とは、収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上、かつ/または拡張期血圧(最低血圧)が90mmHg以上の場合をいいます(診察室血圧)。

血圧値の分類は次の表に示されます。

血圧値の分類

成人における血圧値の分類(mmHg)   
 分類 診察室血圧 家庭血圧 
収縮期血圧      拡張期血圧 収縮期血圧     拡張期血圧
正常血圧   <120   かつ    <80  <115   かつ    <75
正常高値血圧 120-129    かつ    <80 115-124   かつ    <75
高値血圧 130-139  かつ/または 80-89 125-134  かつ/または  75-84
I度高血圧 140-159  かつ/または 90-99 135-144  かつ/または  85-89
II度高血圧 160-179 かつ/または100-109 145-159  かつ/または  90-99
III度高血圧   ≧180   かつ/または  ≧110  ≧160     かつ/または  ≧100
(孤立性)収縮期高血圧   ≧140  かつ   <90  ≧135    かつ   <85

※日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編「高血圧治療ガイドライン2019」より 

 

●日本の高血圧の総患者数(継続的な治療を受けていると推測される患者数)は993万7,000人とされています〔「平成29年(2017)患者調査の概況」厚生労働省〕。また、収縮期(最高)血圧が 140 mmHg 以上の者の割合は男性 37.0%、女性 27.8%です(20 歳以上)。(「平成 29 年 国民健康・栄養調査結果の概要」厚生労働省)。

 

●高血圧の治療の目的は血圧を下げることですが、その真の目的は、高血圧が続くことによって起こる動脈硬化と動脈硬化が原因となる心血管病(脳梗塞、脳出血、狭心症、心筋梗塞、心不全、腎障害、末梢動脈疾患など)を防ぐことにあります。

 

●高血圧は、大きく本態性高血圧と二次性高血圧に分けられます。本態性高血圧はその原因(成因)が不明であり高血圧全体の90%以上を占めます。本態性高血圧は、遺伝的になりやすい人がある環境因子(危険因子)にさらされることによって発症すると考えられています。高血圧の危険因子として、加齢(老化)、喫煙、慢性的なアルコールの多量摂取、塩分のとり過ぎ、肥満、運動不足などの生活習慣の乱れや、ストレス、急激な温度変化などが知られています。

  最近、中高年者の高血圧の原因として動脈硬化が大変注目されています。動脈硬化で血管が硬くなると血管の弾力性が失われ、血管の内腔(血管の内側の空間)が狭くなり血液が流れにくくなって血圧が高くなり高血圧になります。動脈硬化はすでに10代から起こりはじめる人もいますが、年齢とともに確実に進行し、30代では4分の1に、40代では約半数に、60代以上ではほとんどの人に動脈硬化がみられるといわれています。一方、高血圧の人は、20代では3%ですが、30代で10%、40代で22%、50代で47%、60代で61%、70代で72%と50代以降で急激に増えてきます。このように、中高年者の高血圧の主な原因は動脈硬化ですが、動脈硬化が進む中高年で高血圧も急激に増えてきます。

 

●高血圧の治療は、危険因子の除去(生活習慣の改善など)とともに、食事療法や運動療法が基本になります。これによって血圧が下がる例も多く見受けられます。これによって血圧がコントロールできないときは、それに加え高血圧薬による治療を行います。降圧目標値は、75歳以上、脳血管障害(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、または未評価)、慢性腎臓病(蛋白尿陰性)では収縮期血圧/拡張期血圧が140/90mmHg未満、そして75歳未満、脳血管障害(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞なし)、冠動脈疾患、慢性腎臓病(蛋白尿陽性)、糖尿病、抗血栓薬服用中では収縮期血圧/拡張期血圧が130/80mmHg未満です。

  高血圧薬にはたくさんの種類がありますが、一般に使われるものとしては利尿剤、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬などがあります。

  しかし、これらの薬剤は神経系、内分泌系、腎臓などに働いて血圧を低下させるものですので、これらの異常で血圧が高くなっている患者(主に若年性高血圧)には望ましい薬剤かもしれませんが、動脈硬化が主な原因となっている中高年者の高血圧には、原因を治さない対症療法薬でしかありません。そのため、中高年の高血圧患者がこれらの薬剤を服用すれば一時的にある程度血圧は下がりますが(動脈硬化が原因の高血圧患者にもこれらの対症療法薬はある程度血圧を下げます)、動脈硬化は進み続け、高血圧も次第に悪化していきます。そのため、中高年者の高血圧には、動脈硬化を改善して(動脈の弾力性を高めて)高血圧を改善する根本治療薬が強く望まれていました。

2.アルギニンの理想的な高血圧予防・改善作用

 

1)アルギニンの働き

  アルギニンは、血管の内皮細胞(血管の一番内側にある細胞)において、NOS(一酸化窒素合成酵素)という酵素の働きでNO(一酸化窒素)に変わり、血管拡張作用などによって血圧の上昇を防ぐなど、血圧の調節に大変重要な働きをしています。一方、アルギニンからのNOの生成を阻害すると、健康な人の血圧が上昇することが示されています。

  高血圧の人では血管の拡張性が低下していますが、これに内皮細胞の障害によるNOの生成低下が関係している可能性が示されています。すなわち内皮細胞の障害によってアルギニンからのNOの産生が低下し、それによって血管が拡張しにくくなり、それが高血圧の発症や悪化(進展)の大きな原因の一つではないかと考えられています。内皮細胞の障害は、高血圧のほか、生活習慣の乱れ(肥満、ストレス、喫煙、運動不足など)、病気(メタボリックシンドローム、高脂血症、糖尿病、動脈硬化、心不全、慢性腎臓病など)、加齢、食塩過剰摂取などでみられ、これらに高血圧が併発しやすい原因の一つではないかと考えられています。

  内皮細胞の障害には活性酸素が関係していると考えられています。実際、高血圧では酸化ストレス(活性酸素が異常に増加した状態)が亢進していることが明らかにされています。また、生活習慣の乱れ(肥満、ストレス、喫煙、運動不足など)、病気(メタボリックシンドローム、高脂血症、糖尿病、動脈硬化、心不全、慢性腎臓病など)、加齢、食塩過剰摂取などでも活性酸素が増加することが知られています。また、活性酸素はNOSの働きを阻害しNOの生成を減少させます。

  内皮細胞の働きを改善し、NOの生成を促進するものとしてアルギニンが知られています。アルギニンは内皮細胞にあるNOSという酵素によってNOに変化します。また、アルギニンはNOSの働きを高めます。これによってアルギニンはNOの生成を高めます。実際、アルギニンは、NOの生成を促進し、高血圧を改善しました。

  一方、中高年者の高血圧の原因として動脈硬化が大変注目されています。動脈硬化で血管が硬くなると血管の弾力性が失われ、血管の内腔(血管の内側の空間)が狭くなり血液が流れにくくなって血圧が高くなり高血圧になります。中高年者の高血圧の主な原因は動脈硬化ですが、動脈硬化が進む中高年で高血圧も急激に増えてきます。動脈硬化は、その名の通り動脈が硬くなることですが、その原因は動脈の一番内側にある内皮細胞の働きが何らかの原因(活性酸素など)で障害されることが引き金になって起こると考えられています。内皮細胞は、種々の生理活性物質を産生し、血管が正常に働くようにコントロールしています。しかし、その働きに異常が起こると生理活性物質の産生に異常が生じてきます。中でもNOは内皮細胞でアルギニンからつくられ、血管を拡張し、血小板の凝集を抑制し(血栓の形成を抑制します)、血管の柔らかさを保ち血管が硬くなる(動脈硬化になる)のを防いでいますが、内皮細胞の働きに異常が起こり、NOの生成が低下すると、血管が拡張しにくくなり(血管が収縮しやすくなり)、血栓ができやすくなり、血管が硬くなって動脈硬化になりやすくなります。そして、NOの生成の低下が続くと動脈硬化は進行(悪化)し続けることになり、高血圧が発症・進行すると考えられます。

  アルギニンは、血管を拡張し、血小板の凝集を抑制し、動脈硬化を抑制し、高血圧を予防・改善することが期待できます。実際、アルギニンは、動脈硬化がかなり進行していると考えられる、心血管病(動脈硬化が主な原因の心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈疾患など)の危険因子(糖尿病、高血圧、脂質異常など)を複数持った中高年者の、動脈硬化で硬くなった血管を柔らかくし、高血圧を改善しました(文献⑪)。(アルギニンの動脈硬化抑制作用については「アルギニンは動脈硬化および心血管病を予防・改善します!」をご覧下さい)。

  アルギニンの高血圧改善作用は2つの作用に分けることができます。1つは短期的作用で、アルギニンがNOの生成を促進することでNOの働きで血管が拡張して血圧が下がるものです。この作用はアルギニンを摂取すれば短期的に出てくる作用ですが、内皮細胞がある程度機能していないと(すなわちNOが十分生成しないと)現れてきませんので、動脈硬化が進行して内皮細胞の障害がひどい状態では作用が弱いか認められない可能性があります。もう一つは長期的作用で、アルギニンが内皮細胞の機能を改善することで動脈硬化を改善し、動脈を柔らかくして高血圧を改善するものです。動脈硬化の改善には時間がかかるため(通常数ヶ月以上かかると考えられます)、この作用が現れるには通常数ヶ月以上かかると考えられます。動脈硬化を改善して高血圧を根本から改善する高血圧薬は現在ほとんどないと考えられることから、アルギニンは特に動脈硬化が主な原因である中高年者の高血圧を、根本的に予防・改善する理想的な成分と考えられます。

 

2)アルギニンが高血圧を予防・改善する例

  アルギニンは、高血圧の患者や動物モデルにおいて高血圧を予防・改善することが報告されています。

 

(1)動物モデル

  ラットの高血圧モデル(食塩感受性および自然発症高血圧モデル)において、高血圧の発症を予防し、高血圧を改善しました。また、腎臓の血流を増加させ、腎臓に生じた障害を改善し、心臓と血管系の異常を改善しました。高血圧ラットでは体内でのNOの産生が低下していることが示唆されましたが、アルギニンはNOの生成を増やしましたので、これによって高血圧およびこれに伴う異常が改善されたものと考えられました(文献)。

 

(2)臨床試験

(a)短期試験

  アルギニンは1ヶ月位までの短期臨床試験で、比較的高用量(アルギニンとして1日8~12g経口摂取)で血圧を低下させ(血圧の上昇を抑え)ました。一方、それより少ない摂取量(アルギニンを1日6g経口摂取)では血圧に変化は見られませんでした。アルギニンによる短期での血圧の低下は、アルギニンの摂取でNOが増加したためと考えられました。

 

●アルギニンは、本態性高血圧患者において、注射によって血圧を低下させ、腎臓の血流を増加させました(文献)。

 

アルギニンを2型糖尿病患者に1ヶ月間経口投与(アルギニンとして3gを1日3回)すると、血圧は低下し(収縮期血圧が14%低下)、前腕血流は増加(36%)しました。これらの血圧低下や血流増加作用は主にアルギニン投与によるNO生成の正常化(NO生成の増加)によるものと考えられました。つまり、糖尿病により内皮細胞が障害されNOの生成が低下しますが、アルギニンによってNOの生成が正常まで増加し、それによって血圧低下や血流増加が引き起こされたと考えられました(文献⑦)。

 

アルギニンは、高コレステロール血症患者を用いた試験で、ストレスによって引き起こされた血圧上昇と心悸亢進を抑えました(1日12gのアルギニンを摂取)(文献⑧)。

 

軽症の高血圧患者にアルギニン(4gを1日3回)を4週間経口投与したところ、血圧(収縮期血圧および拡張期血圧)が明らかに低下しました。一方、アルギニン2gを1日3回摂取させたグループでは血圧に特に変化は見られませんでした(文献⑨)。

 

肥満者(2型糖尿病を併発)(食事療法と運動療法を実施中)に21日間1日8.3gのアルギニンを摂取させました。その結果、食事療法と運動療法のみの場合血圧はほとんど変化しませんでしたが、食事療法と運動療法に加え、アルギニンを摂取させた場合、高血圧は明らかに改善され、血圧は正常域まで低下しました(試験前の収縮期血圧151mmHg、拡張期血圧90mmHg。試験後の収縮期血圧128mmHg、拡張期血圧78mmHg)(文献⑩)。



(b)長期試験

  アルギニンは長期臨床試験(6ヶ月)で、より低用量(アルギニンとして1日6g経口摂取)で血圧を低下させました。アルギニンによる血圧の低下は短期では見られず、アルギニン摂取後5ヶ月目から見られたことから、一酸化窒素による直接作用で血圧が低下したというより、動脈硬化の改善による血管弾力性の増加によって血圧が低下したものと考えられました(文献⑪)。

  少なくとも二つ以上の心血管病の危険因子(糖尿病、高血圧、脂質異常など)を持つ患者(平均年齢62歳)(動脈硬化がかなり進行していると考えられます)(糖尿病薬、高脂血症薬、高血圧薬などは継続投与)に、1日6gのアルギニンを6ヶ月間毎日経口的に摂取させました。その結果、アルギニンを摂取した患者群(アルギニングループ)では収縮期血圧の低下が見られました。アルギニングループの収縮期血圧(平均値)は、試験前には144mmHgでしたが、6ヵ月後には133mmHgに明らかに低下しました。一方、アルギニンを摂取しない(プラセボを摂取)グループ(プラセボグループ)では血圧は上昇傾向でした(試験前143mmHg、試験後147mmHg)。アルギニングループでの収縮期血圧の低下はアルギニン摂取後5ヶ月目から見られました。

  また一方で、アルギニン摂取による動脈硬化に対する影響を検討したところ、アルギニングループでは、動脈(大きい)の弾性指数(血管の弾力性を表す指数。ml/mmHgX10)(平均値)が6ヵ月後に12.7に上昇し(試験前は10.6)、動脈の弾力性(柔らかさ)が高まっていました。一方、プラセボグループでは弾性指数(平均値)は悪化していました(試験前11.6が試験後8.0に悪化)。すなわち、プラセボグループでは動脈硬化を防ぐための種々の薬(糖尿病薬、高脂血症薬、高血圧薬など)を服用していたにもかかわらず、動脈の弾力性は低下し動脈硬化が進行していることが示されましたが、アルギニングループでは、弾力性は高まり、動脈硬化の進行を止めるどころか、改善していることが示されました。アルギニンの動脈弾力性改善作用を経時的に見てみますと、アルギニン摂取後3ヶ月目から明らかに弾力性が高まり、その後改善し続け、6ヶ月目でもそれが頭打ちになることはありませんでした。

  アルギニンの血圧低下作用は、動脈の弾力性改善作用が見られた時期よりも後で見られたことから、動脈の弾力性の改善が血圧の改善(低下)を引き起こしたものと考えられました。このことから、アルギニンの働きで動脈硬化がさらに改善されたとき、それに伴って血圧もさらに低下するものと考えられました。

  このように、アルギニンは、長期摂取(6ヶ月間)によって、薬による治療では改善するどころか悪化した、動脈(大きい)の弾力性を高めて動脈硬化を改善しました。また、薬によってもこれ以上低下しなかった高血圧を、動脈の弾力性を高めることで改善し、血圧を正常値近くまで低下させました。


(c)メタ解析

  これまでの臨床研究でアルギニンが血圧低下作用を有するのではないかということが報告されています。しかしながら、研究の対象となる患者数が少なかったために統計的な有意性を判断するには問題がありました。過去の信頼できる文献を精査し、これをまとめてメタ解析することで、アルギニンの血圧低下作用が確実性を持つかどうかが検討されました(文献⑫)。

  データベース(PubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Clinical Trials gov database)を調査し、アルギニンの経口投与による人における血圧への効果をランダム化二重盲検プラセボ対照試験(医薬品やサプリメントなどの効果を調べるための最も信頼性の高い試験)で行った文献を集めて精査しました。

  アルギニンの経口投与による人における血圧への効果をランダム化二重盲検プラセボ対照試験で行った11の試験を解析に用いました。対照患者数は387人で、アルギニンの摂取量は1日4~24gでした。解析の結果、プラセボ(効果が無い偽薬)に比べアルギニンは統計的に明らかに血圧(収縮期血圧と拡張期血圧の両方)を低下させました。

  このように、メタ解析の結果、アルギニンは経口投与によって血圧を低下させることがより確実になりました。



(3)まとめ

  アルギニンは、これまでのデータから、食塩の過剰摂取による高血圧や本態性高血圧、肥満や糖尿病に併発した高血圧、ストレスによって引き起こされた高血圧などに効果が期待できます。さらに、動脈硬化が主な原因と考えられている中高年者の高血圧の改善が期待できます。

  アルギニンの高血圧改善作用は2つの作用に分けることができます。1つは短期的作用で、アルギニンがNOの生成を促進することでNOの働きで血管が拡張して血圧が下がるものです。この作用はアルギニンを摂取すればすぐに出てくる作用ですが、内皮細胞がある程度機能していないと(すなわちNOが十分生成しないと)現れてきませんので、動脈硬化が進行して内皮細胞の障害がひどい状態では作用が弱いか認められない可能性があります。実際文献的には、内皮細胞が障害されていると考えられる患者(高血圧、高コレステロール血症、肥満、糖尿病など)で、アルギニンの短期作用(NOの生成増加による血管拡張・血圧低下)にはある程度高用量のアルギニン(アルギニンとして1日8~12g経口摂取)が必要であることが示されています。

  もう一つは長期的作用で、アルギニンが内皮細胞の機能を改善することで動脈硬化を改善し、動脈を柔らかくして高血圧を改善するものです。動脈硬化の改善には時間がかかるため(通常数ヶ月以上かかると考えられます)、この作用が現れるには通常数ヶ月以上かかると考えられます。動脈硬化を改善して高血圧を改善する高血圧薬は現在ほとんどないと考えられることから、アルギニンは特に動脈硬化が主な原因である中高年の高血圧の根本治療に望ましい成分と考えられます。文献的には、アルギニンの長期作用(動脈硬化を改善して高血圧を改善)は、より低用量(アルギニンとして1日6g経口摂取)で効果が期待できます。

  一方、高血圧治療の真の目的は、心血管疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)などの合併症の予防にありますが、アルギニンは心血管疾患の原因である動脈硬化を予防・改善しますので、アルギニン単独で血圧低下作用が十分でなくとも、他の降圧剤と併用することによって、より強力な血圧低下作用と合併症の予防・改善効果が期待できますのでぜひおすすめしたいと思います。

 

3)高血圧治療におけるアルギニンの使い方

  高血圧の大部分を占める(90%以上)本態性高血圧は、遺伝的になりやすい人がある環境因子(危険因子)〔加齢(老化)、生活習慣の乱れ(喫煙、慢性的なアルコールの多量摂取、塩分のとり過ぎ、肥満、運動不足など)、ストレスなど〕にさらされることによって発症すると考えられています。一方、これら危険因子のほとんどは内皮細胞を障害することが知られています。そして、この内皮細胞障害によるNO生成の低下が高血圧を引き起こす原因になると考えられます。

  アルギニンは、高血圧の原因(内皮細胞障害による)を改善し(内皮細胞の働きを改善し)、高血圧を根本から予防・改善することが期待できます。実際、食事療法と運動療法のみによっては血圧がほとんど変化しなかった軽度高血圧患者において、食事療法と運動療法に加え、アルギニンを摂取させた場合、高血圧は明らかに改善され、血圧は正常域まで低下しました。

  一方、現在使われている高血圧薬のほとんどは原因を治さない対症療法薬ですので、これらの薬剤を服用すれば一時的にある程度血圧は下がりますが、病状の進行に伴って、高血圧も次第に悪化していきます。そのため、高血圧を根本から改善する根本治療薬が強く望まれていました。アルギニンは本態性高血圧の根本治療が可能と考えられますので、また、アルギニンは安全性の高いアミノ酸で安全性は問題ないと考えられますので、薬物療法に移行する前に試す価値はあると考えられます。また、薬物療法に移行したとしても高血圧の原因を改善する可能性がありますので、高血圧薬と併用することによって、病状の進行を抑えることが期待できます。

  さらに、動脈硬化が主な原因と考えられている中高年者の高血圧においては、動脈硬化を改善して高血圧を改善する高血圧薬は現在ほとんどないと考えられることから、動脈硬化を改善して(動脈の弾力性を高めて)高血圧を改善するアルギニンは、特に中高年者の高血圧の根本治療におすすめと考えられます。

  このように、アルギニンはこれまでの高血圧薬と異なり、高血圧の重要な原因の一つと考えられる内皮細胞の障害(高血圧の原因と考えられる生活習慣の乱れ等によって引き起こされます)を改善し、加齢による高血圧の原因である動脈硬化を改善することで、高血圧を根本から予防・改善することが期待できますので、高血圧治療の根本治療に、単独で、あるいは生活習慣の修正や食事療法や運動療法とともに、あるいは高血圧薬とともに使用することをおすすめします。これによって、高血圧そのものから解放されることも夢ではないかもしれません。


4)高血圧症のアルギニン療法

(1)高血圧症に対するアルギニンの効果

  〔以下のアルギニンの働きは国際的な一流の医学誌や科学誌に掲載された信頼できるデータに基いたものです。詳しくは「3.アルギニンが高血圧を改善するデータ(文献)」をご覧下さい〕

●アルギニンは、食塩の取り過ぎで引き起こされた高血圧、本態性高血圧、糖尿病や肥満に合併した高血圧、ストレスによる高血圧、動脈硬化が原因と考えられる高血圧を改善しました。また、高血圧に合併した腎症や心血管系の異常などの合併症を改善しました。アルギニンのこれらの作用は、主にアルギニンから生成したNOによる作用と考えられました。

●このように、アルギニンは、主にNOの働きを介して、高血圧症やその合併症を予防・改善することが期待できます。

●アルギニンは、高血圧でお悩みの方におすすめします。アルギニンは生体に必要なアミノ酸のため副作用の心配はほとんどないと考えられます。
実際数多くの臨床試験でアルギニンによると考えられる副作用はほとんどありませんでした(Shao A et al., Risk assessment for the amino acids taurine, L-glutamine and L-arginine. Regul Toxicol Pharmacol, 50, 376 (2008))。



(2)アルギニンの摂取方法

●高血圧症の予防・改善のためのアルギニンの摂取量は、文献的には、短期的な作用(1ヶ月くらいまでの摂取で血圧をすぐに下げたい場合)を期待するにはアルギニンとして1日8~12gの経口摂取が、長期的な作用(動脈硬化を改善して血圧を徐々に下げる場合)を期待するにはアルギニンとして1日6gの経口摂取が必要とされています。

  なお、アルギニンの摂取量は、アルギニンの問題点を克服したサプリメントの摂取によって減らすことができますのでお試しください(これについて詳しくは「アルギニンの欠点を克服し、超強力・超持続を目指した、進化型「スーパーアルギニンサプリメント」の開発の試み=長寿、健康長寿、若返り、老化・老化病抑制も夢ではない、究極のスーパーアンチエイジングサプリの創製を目指して=[詳細編]または[概要編]」をご参照下さい)。

●アルギニンを摂取する場合の注意点
  これについては『最新医学データに基づいたアルギニンの飲み方とアルギニンサプリメントの正しい選び方』をご覧ください。

3.アルギニンが高血圧を改善するデータ(文献)

1)動物モデル

①Chenらは、食塩によってひきおこされる高血圧をアルギニンが改善することを示しました(Lab. Invest., 1993; 68: 174-184)。

  食塩で高血圧になりやすいラット(Dahl/Rapp食塩感受性ラット)に高食塩食を4週間食べさせると、ラットは急速に高血圧になり、2週間後には腎に障害が見られました。そして、4週間後までにはほとんどのラットが死亡するか死亡に近い状態でした。このラットに高食塩食と同時にアルギニンを摂取させると高血圧は発症せず、腎障害も認められませんでした。アルギニンを、高食塩食の2週間後に摂取させた場合にも、高血圧を改善しました。

 

②Tomohiroらは、食塩によってひきおこされる高血圧をアルギニンが改善することを示しました(Am. J. Physiol., 1997; 272: R1013-R1019)。

  食塩で高血圧になりやすいラット(Dahl-Iwai食塩感受性ラット)に高食塩食を4週間食べさせると、ラットの血圧は普通食のラットに比べ統計的に有意に上昇しました。また、高血圧ラットの腎の血流は有意に減少し、腎の障害を示す尿中タンパクと尿中アルブミンの排泄が有意に増加しました。高血圧ラットでは体内でのNO(一酸化窒素)の産生が低下していることが示唆されました。一方、高血圧ラットにアルギニンを4週間摂取させたところ、高血圧は改善し、腎血流量は増加し、尿中タンパクとアルブミン排泄は減少し、NOの生成は有意に増加しました。

 

③Susicらは、自然発症の高血圧ラット(SHR)(1年齢)にアルギニン(約35mg/ラット/日)を6ヶ月間経口投与し、プラセボ投与群と比較しました。その結果、プラセボ投与群に比べ、アルギニン投与群の平均血圧は約10%統計的に有意に低下しました。また、心血管系の異常(左心室および動脈重量増加、全身および冠動脈血管抵抗の増加、左心室ヒドロキシプロリン量の増加など)を改善しました(Hypertension, 1999; 33: 451-455)。

 

2)臨床試験

④ Hishikawaらは、本態性高血圧患者(5人)にアルギニンを静脈内に投与したところ血圧は低下しました。また、NOの産生は増加しました(J. Cardiovasc. Pharmacol., 1992; 20 (Suppl 12): S196-197)。

 

⑤Pedrinelliらは、本態性高血圧患者(10人)にアルギニンを注射したところ血圧は低下しました(Eur. J. Clin. Pharmacol., 1995; 48: 195-201)。

 

⑥Higashiらは、本態性高血圧患者(27人)にアルギニン(500mg/kgを30分間かけて点滴で静脈内投与)を投与したところ、投与している間血圧は低下し、20分後に約10%の低下となり(収縮期、拡張期血圧とも)その後一定となりました。投与終了後、血圧は上昇し10分程度で元に戻りました。また、アルギニン投与によって腎の血流量は約10%増加し、NOの産生量は約2倍に増加しました(Hypertension, 1998; 32: 16-24)。

 

⑦Piattiらは、2型糖尿病患者(12人)を二つに分け、一方にプラセボを、他方にアルギニン(3gを1日3回)を1ヶ月間摂取させたところ、アルギニン投与群では前腕血流が36%増加し、収縮期血圧が14%低下しました。また、NO生成の正常化が示唆されました(Diabetes Care, 2001; 24: 875-880)。

 

⑧Westらは、アルギニンがストレスによって引き起こされた血圧上昇と心悸亢進を抑えることを示しました。また、アルギニンは、血管を傷つけ血栓ができるのを促進し動脈硬化や心筋梗塞や突然死を引き起こす危険を大幅に高めるホモシステインを明らかに低下させました(West SG, Likos-Krick A, Brown P, Mariotti F. Oral L-arginine improves hemodynamic responses to stress and reduces plasma homocysteine in hypercholesterolemic men.J Nutr. 2005 Feb; 135(2): 212-7)。

  高コレステロール血症の患者16人(中年男性)に3週間1日12gのアルギニンを摂取させました。その後ストレス(公衆の面前での演説(擬似)および寒冷刺激)を与えたところ、ストレスの種類に関係なく血圧と心拍数が上昇しました。ところが、アルギニンを摂取させた患者では明らかに血圧上昇と心悸亢進が抑えられました。また、血中のホモシステインの量も明らかに低下しました。

(解説)

  ストレスはストレスの種類に関係なく血圧を上昇させ、心拍数を増やします。これが定常化しますとストレス性の高血圧や心悸亢進状態が続くことになります。現代社会はストレス社会といわれていますので、ストレスが原因の高血圧も少なくないと考えられます。また、他の原因で高血圧になった人でもストレスにさらされますとさらに高血圧が悪化する可能性があります。アルギニンはこのストレス性の高血圧と心悸亢進を抑制することが明らかにされました。そのため、強いストレスがある人の高血圧にアルギニンが良いと考えられます。
  アルギニンは、血管が傷つくのを防ぎ、血栓ができるのを防ぎ、直接動脈硬化や心血管病(狭心症、心筋梗塞、脳梗塞など)を防ぎますが、本文献から、動脈硬化や心筋梗塞や突然死を引き起こす大きな危険因子であるホモシステインの血中濃度も低下させることが明らかにされました。このことはアルギニンの抗動脈硬化作用は直接作用だけでなく危険因子も抑制して間接的にも働くことが明らかにされたということを示しています。
 
〔最近、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞の大きな危険因子といわれているC-reactive protein(CRP)もアルギニンの摂取量が多いほど少なくなることが示されました。(Wells BJ, Mainous AG 3rd, Everett CJ. Association between dietary arginine and C-reactive protein. Nutrition. 2005 Feb;21(2):125-30.)〕。
 
 
⑨Astらは、軽症の高血圧患者(35人)にアルギニン(2または4gを1日3回)またはプラセボを4週間経口投与したところ、血圧(収縮期血圧および拡張期血圧)が統計的に明らかに低下する(4gを1日3回投与のグループで)ことを示しました。他のグループでは血圧に特に変化は見られませんでした。(Ast J, Jablecka A, Bogdanski P, Smolarek I, Krauss H, Chmara E.. Evaluation of the antihypertensive effect of L-arginine supplementation in patients with mild hypertension assessed with ambulatory blood pressure monitoring. Med Sci Monit. 2010 Apr 28; 16(5):CR266-71)。
 
 
⑩Lucottiらは、アルギニンが肥満者(2型糖尿病を併発)の高血圧を改善することを示しました(Am J Physiol Endocrinol Metab, Nov 2006; 291: E906 - E912)。
 
  肥満者(2型糖尿病を併発)(平均BMIは39、平均年齢は56歳)(33人)を21日間の低カロリー食(1日1,000kcal)と運動療法(1日1時間半の運動を週に5日)の試験に参加させました。これらの患者は2つのグループに分けられ、一方には1日8.3gのアルギニンを摂取させました(16人:女性12人、男性4人)(アルギニングループ)。また、他方にはプラセボ(アルギニンが入ってない偽薬)を摂取させました(17人:女性13人、男性4人)(プラセボグループ)。試験は二重盲検法※で行いました。試験期間中これらの患者には副作用はありませんでした。
 
  その結果、低カロリー食と運動療法のみのグループ(プラセボグループ)では血圧はほとんど変化しませんでした(試験前の収縮期血圧149mmHg、拡張期血圧89mmHg。試験後の収縮期血圧149mmHg、拡張期血圧88mmHg)。一方、低カロリー食と運動療法に加え、アルギニンを1日8.3g毎日摂取させたグループ(アルギニングループ)では、高血圧は明らかに改善され、血圧は正常域まで低下しました(試験前の収縮期血圧151mmHg、拡張期血圧90mmHg。試験後の収縮期血圧128mmHg、拡張期血圧78mmHg)。
 
  アルギニンの血圧低下作用は主に、アルギニンから生成する一酸化窒素(NO)によるものと考えられました。
 
※二重盲検法:医薬品やある成分の効果を正しく判定するための統計的手法です。医薬品やある成分をプラセボ(効果が無い偽薬)と同時に投与してその効果を判定します。医薬品やある成分の効果が、プラセボの効果よりも統計的に明らかに(有意に)高ければ医薬品やある成分は正しく効果があるということになります。
 
 
⑪H. Guttmantらは、心血管病(動脈硬化が主な原因である心筋梗塞、脳梗塞などの循環系の病気)の危険因子(リスクファクター)を多くもっている患者(動脈硬化が進んでいると考えられます)において、アルギニンが血管の弾力性を高め、高血圧を改善することを示しました(文献:Hila Guttman, Reuven Zimlichman, Mona Boaz, Zipora Matas, Marina Shargorodsky. Effect of Long-Term L-Arginine Supplementation on Arterial Compliance and Metabolic Parameters in Patients with Multiple Cardiovascular risk Factors: Randomized, Placebo-Controlled Study. J Cardiovasc Pharmacol. 2010 Jun 7)
 
【試験の背景】

  中高年の人の高血圧の主な原因は動脈硬化です。そのため、動脈硬化を改善すれば中高年の高血圧の大部分は改善され、高血圧薬もほとんど必要なくなるものと考えられます。ところが、これまで、中高年の人の高血圧の治療に用いられてきた薬は、動脈硬化を改善してその原因から高血圧を改善するものではなく、対症療法的に血圧を下げるものでした(その理由はこれまで動脈硬化を改善して高血圧を改善する薬がほとんどなかったからです)。そのため、血圧を下げる薬を飲むことで見かけ上血圧は下がっていても、動脈硬化は進んでいくため、それにつれて高血圧も次第に悪化していき、それに対応するため(高くなっていく血圧を下げるため)薬の量が増えたり、薬の種類が増えていくことになります。また、一生薬(対症療法的な高血圧の薬)を飲み続けなければならないことになります。

  これらのことから、特に中高年の高血圧をその根本から改善する、動脈硬化を改善して高血圧を改善する薬(や成分)が強く求められてきました。

  アルギニンが動脈硬化を予防・改善するという多くのデータ(医学文献)があります(アルギニンの動脈硬化抑制作用については「アルギニンは動脈硬化および心血管病を予防・改善します!」をご覧下さい)。一方、アルギニンが高血圧を予防・改善するというデータ(医学文献)が数多くあります(アルギニンの高血圧予防・改善作用については上記の文献等をご覧下さい)。

  以上のことから、アルギニンの長期摂取が動脈硬化を改善し(血管の弾力性を高めて)、その結果高血圧を改善しうるかどうか大変興味があります。

  本文献では、心血管病の危険因子を複数持った中高年の人(動脈硬化がかなり進んでいると考えられます)において、アルギニンの長期間(6ヶ月)の摂取が動脈の弾力性(動脈硬化の指標の一つ)を高めて動脈硬化を改善し、高血圧を改善しうるかについて検討されました。

 

【結果】
  少なくとも二つ以上の心血管病の危険因子を持つ患者(90人)が試験に参加しました。これらの患者を2グループにわけ、一方のグループには1日6gのアルギニンを6ヶ月間毎日経口的に摂取させました(アルギニングループ)。他方のグループにはプラセボを摂取させました(プラセボグループ)。試験前に継続的に摂取していた薬はそのまま服用を継続させました。試験は二重盲検法※1によって行われました。動脈硬化を測定する方法として種々の方法がありますが、本試験では動脈の弾力性を測定しました。動脈の弾力性はPulse Wave Contour Analysisを用いて評価されました。

  最初の90人の患者のうち、6ヶ月の試験を終了したのは77人でした(アルギニングループ43人。プラセボグループ34人)。試験を完了した2グループの間で、男女比、年齢、BMI、危険因子(糖尿病、高血圧、脂質異常など)の種類や罹患率、服用薬の種類や服用率、生化学的パラメータなどに統計学的な差はありませんでした。なお、アルギニングループの平均年齢は62歳で、プラセボグループの平均年齢は60歳でした。薬の服用率は糖尿病薬は約7割、高脂血症薬は約7割、高血圧薬は約8割程度でした(なお、投与が継続された高血圧薬は、利尿剤、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬でした)。試験を終了できなかった患者の理由は個人的なもので、副作用によるものではありませんでした。試験期間中、アルギニンによると考えられる副作用はありませんでした。

  アルギニングループ(1日6gのアルギニンを毎日経口的に摂取)の6ヵ月後の変化は、動脈(大きい)の弾性指数(血管の弾力性を表す指数。ml/mmHgX10)(平均値)が12.7に上昇し(試験前は10.6)、動脈の弾力性(柔らかさ)が高まっていました※2。一方、プラセボグループでは弾性指数(平均値)は悪化していました(試験前11.6が試験後8.0に悪化)。すなわち、プラセボグループでは動脈硬化を防ぐための種々の薬(糖尿病薬、高脂血症薬、高血圧薬など)を服用していたにもかかわらず、動脈の弾力性は低下し動脈硬化が進行していることが示されましたが、アルギニングループでは、弾力性は高まり、動脈硬化の進行を止めるどころか、改善していることが示されました。アルギニンの動脈弾力性改善作用を経時的に見てみますと、アルギニン摂取後3ヶ月目から明らかに弾力性が高まり、その後改善し続け、6ヶ月目でもそれが頭打ちになることはありませんでした。

  アルギニングループでは、血圧の低下が見られました。アルギニングループの収縮期血圧(平均値)は、試験前には144mmHgでしたが、6ヵ月後には133mmHgに明らかに低下しました。一方、プラセボグループでは血圧は上昇傾向でした(試験前143mmHg、試験後147mmHg)。アルギニングループでの収縮期血圧の低下はアルギニン摂取後5ヶ月目から見られました。※3

  拡張期血圧に関しましては、アルギニンの6ヶ月摂取後においても変化は見られませんでした(試験前77mmHg。試験後75mmHg)。これは、試験前においてすでに拡張期血圧は正常血圧(80mmHg未満)の範囲内にあり、これ以上低下しなかったものと考えられました(アルギニンは低血圧の心配がないと考えられます)。※3

  アルギニンの血圧低下作用は、動脈の弾力性改善作用が見られた時期よりも後で見られたことから、動脈の弾力性の改善が血圧の改善(低下)を引き起こしたものと考えられました。

  このように、アルギニンは、1日6gの長期摂取(6ヶ月間)によって、種々の薬による治療では改善するどころか悪化した、動脈(大きい)の弾力性を高めて動脈硬化を改善しました。また、従来の高血圧薬によってはこれ以上低下しなかった高血圧を、動脈の弾力性を高めることで改善し、血圧を正常値近くまで低下させました。

 

※1二重盲検法:医薬品やある成分の効果を正しく判定するための統計的手法です。プラセボ(効果が無い偽薬)によるプラセボ効果(思い込み効果)を除くために、医者にも患者にもどちらが効果のある「披検薬」で、どちらが効果の無い「プラセボ」であるか、分からないようにして、治験(臨床試験)を進める方法です。医薬品やある成分をプラセボ(効果が無い偽薬)と同時に投与してその効果を判定します。医薬品やある成分の効果が、プラセボの効果よりも統計的に明らかに(有意に)高ければ医薬品やある成分は正しく効果があるということになります。

※2弾性指数(Pulse Wave Contour Analysis):動脈(大きい)の弾性指数(血管の弾力性を表す指数)に関しては、本試験の患者(平均年齢62歳)とほぼ同年齢(平均年齢61歳)の肥満していない(肥満は動脈を硬くします)ほぼ健康体の人(33人)の平均値は16.2(ml/mmHgX10)と報告されています(Vascular Medicine 2007; 12: 183-188)。

※3「血圧値の分類」を参照下さい。

 

【解説】

  私たちの体には血圧を調節する仕組みがあり、特に、神経系、内分泌系、腎臓などは大きな役割を果たしています。高血圧はこれらの血圧調節機構になんらかの異常が起こることが一因と考えられています。特に若年性の高血圧はこれらの要因が大きいと考えられます。そのため、これらの調節機構に働く様々の薬が開発され、高血圧薬として使われています。

  一方、血圧には、血管の弾力性が大きく影響してきますので、弾力性の低下(血管が硬くなる)は血圧を上昇させ、高血圧を引き起こすことになります。特に、中高年の人の高血圧は、動脈硬化による血管(動脈)の弾力性の低下が主な原因となります。しかし、これまでの高血圧薬は、動脈硬化を改善して高血圧を改善するものがなく、そのため動脈硬化が原因の中高年の人の高血圧にも、神経系、内分泌系、腎臓などに働くものを使っており(動脈硬化が原因の中高年の高血圧にもこれらの薬は血圧を下げますが動脈硬化はほとんど改善しません)、一時的にある程度血圧は下がっても、動脈硬化は進み続け、高血圧も次第に悪化していきます。そのため、動脈硬化を改善して(動脈の弾力性を高めて)高血圧を根本的に改善する薬が強く望まれていました。

  では動脈が硬くなるとどうして血圧は高くなるのでしょうか?動脈は単に硬い管ではなくて柔らかくて弾力性があります。収縮期(左心室が収縮して血液が強い圧力で送り出されるとき)に送り出された血液によって動脈には強い圧力がかかりますが、動脈はその弾力性で伸張(ふくらむ)することによって血圧が異常に高くなるのを防いでいます。また、拡張期(左心室が拡張して血液を送り出すための準備をしているとき)には心臓からの圧力はほとんどありませんが、動脈はその弾力性で縮み血圧が低くなりすぎるのを防いでいます。このように、動脈はその弾力性によって血圧がある範囲内にあるように調節する働きがあります。ところが、動脈硬化で動脈の弾力性が低くなったり失われたりすると、動脈は収縮期の強い圧力を和らげることができず、収縮期血圧はどんどん高くなっていきます。一方、拡張期には血圧を保持する働きが弱くなり、血圧は低くなりますが、動脈硬化が進み内腔(血管の中の空間)が狭くなってくると血液が流れにくくなり拡張期血圧も高くなってきます。

  動脈硬化は加齢(年を取ること)によって進んでいきますが、高血圧も年齢が高くなるとともに増えていきます。動脈硬化は30代では4分の1に、40代ではほぼ半数あまりに、60代以上ではほとんどの人に動脈硬化がみられるといわれていますが、一方、高血圧症有病者は、30代で10%、40代で22%、50代で47%、60代で61%、70代で72%に上ると報告されています(「平成18年国民健康・栄養調査」厚生労働省)。実際、中高年の人の高血圧の主な原因は動脈硬化です。同年代で動脈硬化よりも高血圧の有病率が低い理由は、動脈硬化がある程度進んでから血圧が高くなってくることによるものと考えられます。つまり、動脈硬化になると血管が硬くなり、また、内腔が狭くなってきますがこれがある程度進んで初めて血圧の調節がうまくいかなくなってくると考えられます。逆に言いますと、動脈硬化を改善して、動脈の弾力性を高める薬(や成分)が見出されたとすれば、動脈硬化が完全に治らなくても高血圧は正常値まで改善される可能性があるといえます。

  現在様々な高血圧の治療薬が使われていますが、動脈の弾力性を高めて(動脈硬化を改善して)高血圧を改善するものはほとんどなく、対症療法的(強制的)に血圧を下げるものでした。そのため、特に中高年の人の高血圧の場合(その原因は主に動脈硬化です)、薬(対症療法薬)を使うことで血圧はある程度下がっても、動脈硬化は進み続け、それに伴って高血圧も悪化していきます。それに対応するため薬の量が増えたり、薬の種類が増えていくことになります。また、一生薬を飲み続けなければならないことになります。つまり、現在の高血圧薬は動脈硬化が原因の高血圧に対しては根本治療薬ではないということになります(一部の薬については血管の弾力性を高める副次的な作用もあるとする報告はありますが、基本的には動脈硬化を強力に改善する作用はほとんどないか弱いと考えられます)。

  本臨床試験の結果は、高血圧の薬を一種類または数種類服用している患者において、アルギニンの6ヶ月間の摂取は高血圧(収縮期血圧)を改善しました(拡張期血圧は変化しませんでしたが、試験前においてすでに拡張期血圧は正常血圧の範囲内にあり、これ以上低下しなかったものと考えられました。すなわち、アルギニンは低血圧を引き起こす心配がないと考えられます)。アルギニンによる収縮期血圧の低下はアルギニン摂取後5ヶ月目から見られました。一方、動脈の弾力性については、アルギニン摂取後3ヶ月目から明らかに弾力性が高まり、その後改善し続け、6ヶ月目でもそれが頭打ちになることはありませんでした。このことから、アルギニンの高血圧改善作用(血圧低下作用)は、アルギニンの動脈弾性改善作用(動脈硬化改善作用)によって引き起こされたと考えられました。

  なお、アルギニンによって動脈硬化が改善されるということは、アルギニンの不足が動脈硬化の大きな原因の一つになっていると考えられます。現在のライフスタイルや加齢(老化)がアルギニンの不足を招いていることになりますので、アルギニンの不足を補うためアルギニンの摂取を継続することをお勧めします。アルギニンの摂取を止めるとアルギニンの不足によって動脈硬化が進行する可能性が大きいと考えられます。

  アルギニンがどのようにして動脈硬化を改善するかについては、アルギニンの内皮改善作用、一酸化窒素(NO)生成増加作用、糖化抑制作用、抗酸化作用などが関わっているものと考えられます(アルギニンの動脈硬化抑制作用については「アルギニンは動脈硬化および心血管病を予防・改善します!」をご覧下さい)

 

⑫J Y Dongらによるメタ解析の結果、アルギニンは経口投与によって血圧を低下させることがより確実になりました(文献:J Y Dong, L Q Qin, Z Zhang, Y Zhao, J Wang, F Arigoni, W Zhang. Effect of oral L-arginine supplementation on blood pressure: A meta-analysis of randomized, double-blind, placebo-controlled trials. Am Heart J 2011 Dec; 162(6):959-65)

 

【試験の背景および目的】

  これまでの臨床研究でアルギニンが血圧低下作用を有するということが報告されています。しかしながら、研究の対象となる患者数が少なかったために統計的な有意性を判断するには問題がある場合がありました。そこで著者らは過去の信頼できる文献を精査し、これをまとめてメタ解析※することで、アルギニンの血圧低下作用が確実性を持つかどうかを検討しました。

 

※メタ解析:過去にそれぞれ独立して行われた複数の臨床研究のデータを収集・統合し、統計的方法を用いて解析した系統的総説です。採用するデータは、信頼できるものにしぼり、それぞれに重み付けを行います。一般的には、様々な試験の要約統計量を用いますが、生データを結合して解析する場合もあります。叙述的な総説とは異なり、体系的、組織的、統計学的、定量的に研究結果をレビューするという特徴があります。メタ解析は、複数の研究で得られた効果が一致しない場合、個々の研究の標本サイズが小さく有意な効果を見いだせない場合、大きな標本サイズの研究が経済的・時間的に困難な場合、に有用であるとされています。

 

【方法】

  データベース(PubMed、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Clinical Trials gov database)を調査し、アルギニンの経口投与による人における血圧への効果をランダム化二重盲検プラセボ対照試験(医薬品やサプリメントなどの効果を調べるための最も信頼性の高い試験)で行った文献を集めて精査しました。

 

【結果】
  アルギニンの経口投与による人における血圧への効果をランダム化二重盲検プラセボ対照試験で行った11の試験を解析に用いました。対照患者数は387人で、アルギニンの摂取量は1日4~24gでした。解析の結果、プラセボ(効果が無い偽薬)に比べアルギニンは統計的に明らかに血圧(収縮期血圧と拡張期血圧の両方)を低下させました。

  このように、アルギニンは、メタ解析の結果、経口投与によって、血圧を低下させることがより確実になりました。

 

(2019年11月27日記)
 

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